HACCPの義務化

昨年から新型コロナウィルス(COVID-19)によるパンデミックが止まりません。こちらは現在も継続し、ここへきてデルタ株の発症者が急激に増えています。

それだけではなく、水害の方は数年前から台風等による大雨が猛威を振るい、数年前の関西の台風、一昨年の台風15号・19号に引き続いて今年も前線の影響で九州や中国地方を中心に大雨による災害が続いているという非常に厳しい自然災害に見舞われています。

被害に遭われた方にはお見舞い申し上げるとともに、一日も早い復興を祈っております。

さて、これだけ色々リスクが顕在化すると、BCMもやることが多すぎて何から手を付けていいのやらという感じです。

そのような中で、ですが、飲食店や食品製造業者といった食品関係の事業者にはもう一つ手を付けなければならないものが増えてしまいました。

それは改正食品衛生法の施行です。

令和3年6月1日、我が国の改正食品衛生法が施行され、HACCPが義務化されました。

概要は、以下のサイトに概要が掲載されています。

HACCPに沿った衛生管理の制度化https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/kaisei/haccp.html

しかし皆様あまりご存じないようで、飲食店の方に聞いても知らなかったといわれることが多々ありました。

そもそもHACCPとは何なのか。なぜHACCPが義務化されたのか。
ご存知でない方もいらっしゃるかと思いますので、順を追って説明していきたいと思います。

まずHACCPとは何でしょうか?
これはHACCPとは以下の単語群の略で、危害分析必須管理点と訳されます。

ざっくりいうと、食中毒等が発生しうるポイントを分析し、重要なポイントを継続的に管理等することにより、これらを未然に防ぎましょうというものです。

H・・・hazard=危害
A・・・analysis=分析
C・・・critical=必須
C・・・control=管理
P・・・point=場所・工程

例えば飲食店の場合、材料の納入や保存、調理、保管、提供といった手順があり、それぞれリスクが顕在化する要因があるわけです。

牛乳をテーブルの上に放置して菌が繁殖してしまった、従業員がトイレに行った際に手を洗わなかったため菌が食材や食器に付着してしまったなどが考えられるわけです。

このようなことが起こらないように、現状を分析し、といったシステム化(計画、手順の文書化と記録の保管等)をして、リスクの高いところを重点的に管理しましょうというものです。

ちなみにISOにも食品衛生の分野は存在し、ISO22001がこのHACCPにあたります。

日本でもJFS(一般財団法人食品安全マネジメント協会が作成した規格)という規格があり、同じようにHACCPのような管理をすることになっています。

当協会のメンバーでも対応できる方がいるので、導入を検討されていらっしゃる方はご相談ください。

なぜ義務化されたかということについてですが、これは世界的な流れです。

実は以前から世界的に食中毒防止が課題とされてきたのです。
観光という観点から食中毒防止が注目されています。
そこで、HACCP(ハサップと読みます)の義務化が世界的に進んだのです。

ちょっと遅めの韓国でも10年近く前に法律ができており、このようなことには敏感な欧州などはそれよりずっとまえに義務化されました。

我が国は先進国の中では、この方面で少々遅れをとっていたというのが実情です。
そこでいよいよ法令により義務化となったわけです。

平成30年に法改正し、今年6月から施行されました。

しかし新型コロナウィルスの第5波と重なってしまったためこちらが優先されてしまいそうで、何とも間が悪いことになってしまったものです。

では、施行されて何か変わるのでしょうか。
小規模企業の多い飲食業界です。
義務化して効果があるのかという疑問はあるでしょう。

これはあると考えられます。
飲食店や食品製造業は基本的に許可制です。
つまり許認可が必要となっています。

官公庁の資料を読む限り、ここで許認可の更新の必要書類として、今すぐではありませんが、HACCPが求めている計画、及び記録類を提出する必要が出てくることになります。
ですから変わらざるを得ません。

とはいえすぐに、というわけではないようですが、やらなければ事業ができないというリスクになっていきます。

飲食店などは非常に厳しい状況ではありますが、逆にHACCP導入の良い機会だととらえて、今HACCPを構築し、よりリスクに強い事業体へと体質を強化させましょう。

特に飲食店の場合、今なら保健所が指導してくれそうな雰囲気があります。
今のうちに相談してみてはいかがでしょうか。

東京都の保健所は、以下のサイトに掲載されています。

東京都福祉衛生局 都保健所一覧
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shisetsu/hc.html

しかし、ある程度の規模の企業などはそのようなわけにもいかないものと思います。
そのときは当協会にご相談ください。HACCPによる手順の作成や記録の残し方につて、一緒に検討し、構築しましょう。

 

 

 

特定非営利活動法人日本BCM協会