令和2年度 BCP実践促進助成金

新型コロナウィルス(COVID-19:略称「新型コロナ」)が猛威を振るい始めて早半年が経とうとしています。
ロックダウン等の施策や自主的な対策により一時は治まっていたものの、夏本番を迎える現在、新型コロナは再度流行してきています。

今回は、経済的に余裕がないという理由で国では有効な対策があまり打てていないのが現状で、春先の対策が元の木阿弥になってしまうのではないかと懸念されます。ここにおいて、企業や組織も自主防衛が必須となっていると考えられるでしょう。

そのような中、東京都では中小企業者等が策定されたBCPを実践するための設備等の導入に要する経費の一部を助成する助成金、「BCP実践促進助成金」の申請者を募集しています。

BCP実践促進助成金
https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/setsubijosei/bcp.html

助成対象事業者は以下の通りです。
下記(1)~(3)のいずれかの要件を満たしてBCPを策定した中小企業者(小規模企業者)及び中小企業団体
(1)平成29年度以降に公益財団法人東京都中小企業振興公社(以下:公社)総合支援課が実施する「BCP策定支援講座(ステージ1)」を受講し、受講内容を踏まえたBCP
(2)中小企業強靱化法に基づく「事業継続力強化計画」の認定を受け、その内容に基づいて作成したBCP
(3)平成28年度以前の東京都又は公社が実施したBCP策定支援事業等の活用により策定したBCP

助成対象経費は、策定されたBCPを実践するために必要な設備・物品の購入、設置に係る費用全てで、助成上限額も1500万円(下限額:10万円)とかなりの額が助成されます。

助成率も1/2~最大で4/5と、東京都の本気度がうかがえます。
対象事業者のハードルが少々高いかもしれませんが、会社が新型コロナのクラスターになってしまうと存亡に関わる問題になりかねません。

東京都の中小企業におかれては、本助成金を活用して、この機会にぜひBCPを構築していただければと考えております。

もし本助成金についてご相談等ございましたら、お問合せフォームよりご相談ください。

今こそBCM・BCPの構築を!

新型コロナウィルス(COVID-19)が猛威を振るい始めて1か月余りが経過しました。
発症された方が一日も早く回復されることをお祈りするとともに、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたします。

さて、ついにこのCOVID-19はパンデミックとなり、世界大戦に匹敵するような経済的被害が発生してしまいました。我が国経済も深刻な打撃を受けています。
このため、日本取引所の新規上場申請については、新型コロナウイルス感染症の影響が事業計画に適切に反映されているかどうかを審査するという項目までできたそうです。

また、人的被害も甚大で、世界では死者が3万人を突破して未だ衰える気配がありません。
特に最近は欧米の発症者の数が多い、地域も限定されていない、ワクチンや有効な治療薬が存在しない、インフルエンザと違い暖かくなっても勢力が衰えない可能性が高いため今後も流行は継続しそうなどの理由から、最終的にはさらにその数は増えるものと予想されます。

その中で、日本は発症者の数が増えていて危険な状態ではあるものの、比較的対応が良く、善戦しているグループに入ると思います。
初動こそ有効な措置が取れなかったものの、その後は早い段階で素早い対応を行い、1000人強(2020年3月29日現在)の発症者で収まっています。
これは政府の対応策に対し誠実な対応を取っている日本在住の方が多いためというのが理由の一つであると思います。

これとともに政府が比較的早い段階で有効な対応を行ったということもあるでしょう。
これはなぜ可能であったのか。
あくまで私見ですが、2009年の豚インフルエンザ(新型インフルエンザ:H1N1)の教訓を彼らが活かした結果ではないかと思います。

2009年の豚インフルエンザの際に、我が国政府は様々な官庁からパンデミックBCMやBCPのガイドライン等が作成・公表されました。
おそらくこれらを彼らも使用したものと考えられます。

このような資料は今もインターネットで公表されています。
一例を以下にあげておきます。

内閣府
事業継続ガイドライン第三版 解説書
http://www.bousai.go.jp/kyoiku/kigyou/pdf/guideline03_ex.pdf

中小企業庁
新型インフルエンザA(H1N1)対策のための事業継続計画
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/influenza/download/A_H1N1_BCP.pdf

中小企業BCP策定運用指針
https://www.chusho.meti.go.jp/bcp/index.html

厚生労働省
事業者・職場における新型インフルエンザ対策ガイドライン(改定案)
https://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/07/dl/s0730-13e.pdf

これらは10年以上前のもので、少々古い情報ではないかと思うかもしれませんが、そのようなことはありません。
新型インフルエンザも新型コロナウィルスも同じパンデミックのグループに分類されており、新型インフルエンザのところを新型コロナウィルスに読み替えればほとんどそのまま使えます。

実際に上述のガイドライン等を読み解いていけば、彼らがほぼこれに基づいて動いていることがわかると思います。
喜ばしいこととはいえませんが、10年後に有効性が実証されたということでしょう。

新型コロナウィルスの猛威はまだしばらく続くことが予想されます。
今からでも遅くはありません。
皆様の会社、組織におかれても、パンデミック用のBCM・BCPを構築しませんか?
日本BCM協会では、そのようなご相談をお受けしています。

なぜ日本人はリスク管理が苦手なのか

あなたはリスクという単語の語源をご存知でしょうか。
諸説ありますが、先日リスクマネジメントの分野でも有名な片方善治が、リスクの語源はラテン語の「risicare」であるといわれていました。
この単語は、「勇気をもって試みる」という意味なのだそうです。
だから、リスクという単語は、元々危険なものというような意味ではないということです。

この「勇気をもって試みる」という行動、どこかで見たり聞いたりしたことはありませんか?
実はこれ、RPGゲーム「ドラゴンクエスト(通称ドラクエ)」そのものであるということができます。
伝説の勇者が強大な悪の魔王に立ち向かうため勇気をもって行動し、仲間や情報、武器や防具を整えてこれを倒しに行くというのは、まさに大いなる「リスク」なのです。

そう考えると、日本人はリスク管理が苦手というのは、どうも違うような気がします。
300万本以上売れる一大ゲームソフトが好きな国民がリスク管理が苦手ということはちょっと考えにくいことです。
もしリスク管理が苦手なら、ドラクエをやりたいと思わないでしょう。

だから、おそらく日本人はリスク管理が苦手なのではなく、リスクの定義が苦手なのではないかと思います。
日本でリスクといえば地震や台風等の天災が主なリスクと考えられています。
これらは克服することが非常に困難で、しかも一時的なものなので、「勇気をもって試みる」という種類のものではなく、「最小限の被害でやり過ごす」のが合理的なものということになります。
それらをリスクとして認識しているので、リスク=危ない⇒適当にやり過ごそう、というロジックになるのではないでしょうか。

BCPやBCMでいいう「リスク」は組織の健全な存続を脅かすものであり、天災がすべてではありません。
その天災以外の事象に対し「勇気をもって」その克服を「試みる」ことが必要です。
もちろん天災も被害を最小限に抑えるという「risicare」は必要ですが、そこで思考が止まってしまっているのが、日本人はリスク管理が苦手と言われる一因ではないかと我々は考えています。

どうでしょう。
ここらへんで一度リスクというものをもう一度整理してみては。
ドラクエだって、最初(LV.1)から悪の魔王と乾坤一擲の大勝負などしません。
情報を集め、倒せる方法を見出し、力を蓄えてラスボスに挑みます。
BCPやBCMもそれと同じようにすれば、苦手意識も消えるのではないでしょうか。

特定非営利活動法人日本BCM協会